ちえこ風呂具

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織田君の過去を追いかける−言葉を追いかける−

織田君の事が気になってから、ふと気づいたのはプロのフィギュアスケーターというのはショーでしか演技が見れない、という事でした。そしてショーや過去の試合での演技の映像はほとんどがテレビでしか放送されない。日本は高橋くんや羽生選手、浅田選手などはDVDが出たりすることもあるけれど、ほとんどの日本選手はテレビ放送を録画するぐらいでしか過去の演技が残せない。ネットで動画が残っているのがせめてもの救いだけれども、それもテレビ局などの著作権の問題で消されてしまうこともある。尚且つマイナーな地方のショーでは全国で放送されることはない、という事でした。
ショーといえばこの1月はSTARS ON ICE JAPAN TOURが行われていて、大阪と東京で開催していたが、残念ながら大阪公演、東京公演共にチケットが完売状態*1。その間に行われていたMedal Winners Openはまだチケットが販売中だったが、突然東京に行けるような状態ではない。
では私の手元に入る織田君の情報は何だろう?と考えた結果、一番好きな活字に向かっていったのでした。

フィギュアスケーターで現在フジテレビスポーツ局勤務の中野友加里さんが、ソチ代表が決まる前に日本代表候補になるであろうスケーター*2にインタビューを行って活字化したのがこの本でした。書店で目について、織田君のインタビューを読んでみたら思いのほかおもしろくて買ってしまいました。
ソチに向かってがんばっている織田君の姿が垣間見れます。この本は12月11日という全日本選手権直前とも言える時期に刊行されたので、多分当時ファンだったら切なくて読めなかったのではないかと思います。でも私はそうではないので、懐かしくもまぶしい気持ちで読むことができました。
インタビューの内容は、同じ試合が多かった中野さんとの思い出話、お子さんや家族の話、13-14年のプログラムの話、試合でジャンプの計算ができない話、他の選手の印象、そしてオリンピックにかける意気込みや、引退後のことについても触れています。
二人の掛け合いがとても面白くて、尚且つ織田君は意外と会話上手で視野が広いんだなあ、と思いました。その中でも私はこのソチオリンピックが終わった後の話が印象的でした。
中野さんの「本当にソチで終わりにするの?その後は?」といった問いに対して、穏やかながらもはっきり明確に「20年以上続けていたことをこれで終わりにするつもりでやる。その後は関大にお世話になったからコーチをしたい。最初は母の元で勉強をして、しばらくは体も動くだろうから呼ばれるならばショーにも出たい」(意訳)と答えていました。
このくだりを読んだときに、ああそうか、織田君はこのシーズンを終えたらかなり高い確立で引退するつもりだったんだなあ、だから引退してすぐに異例の速さで様々な仕事を始めたのだなあ、と思いました。
実は私、織田君が引退してからすぐテレビに出始めて、それもオリンピックの解説などを受け始めたのですごくびっくりしたんですね。もしかしたら自分が出れたかもしれない大舞台に、もうそれこそすごい努力もしてきて、でも適わなかった夢の舞台のサポートをするなんて、正直すごい複雑じゃないですか!気持ちの折り合いをつけるのだって時間がかかりそうじゃないですか!
でも織田君はそんな気配を全く感じられないぐらい一生懸命応援をしていて、なんでこの人そんな事できるんやろう?みたいな気持ちが私にはあったんですよね。
その後もあの織田君のキャラクターが受けてテレビに引っ張りだこになって、ショーも出て、イベントにも出て、と驚くぐらいの切り替えの早さで、引退した寂しさどころか、むしろ見ているほうがついていけないぐらいの状態になりました。
でもそんなふうに頑張れたのは、もう先を見ていたからなのかなあ、とこの対談を読んで思いました。丁度鈴木明子さんもこの本の対談で「ソチがゴールではなくて、その先の自分の人生を考えないと頑張れない」と引退を示唆する話をしていて、そしてその後引退してから織田君と同じようにやっぱりショーやテレビも頑張って、本も出して、とフルに仕事をしていて、先を見据えている人は潔いんだなあ、と。そんな事を考えさせられました。
ところでこの引退後の話で中野さんが「試合を出るのをやめたことで、かえってその人の良さが出てくる」って言っていて、織田君が「僕も引退後、さらに輝きを増したって言われるかもしれない!」と答えていたのですが、今まさに彼のスケートが輝きを増しているんですよね。その言葉のとおりになっているのは競技ではない開放感もあるかと思いますが、それと同時に織田君の日々の練習の賜物だと思います。その輝いたスケートのおかげで私は織田君のスケートをもっと好きになりました。織田君がスケートをやりたい、と思うまま引退してくれたのは私にとってはとても良かったな、と思いました。
ほかのスケーターの話も興味深くて、面白くて「この選手はこういう人なんだなあ」とか、競技しか見てなかった頃には知らなかったスケーター同士の彼ら、彼女らの素顔が見れます。でもそこまで語る気力はないので、もし少しでも興味のある方は手に取ってみることをお勧めします。

*1:その後MBSせやねん!で当日券の販売が伝えられたが、そのときにはあきらめて予定を入れた後だった…!

*2:しかし残念ながら町田くんがいない!なぜだ??!!